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モバイルオーダーに補助金は使える?
デジタル化・AI導入補助金の対象と申請の流れ

最終更新: 2026年8月28日

補助金を使ってモバイルオーダーを導入できないか。そう考えて調べ始めると、まず制度名が変わっていることに気づくかもしれません。月額数百円から数千円のモバイルオーダーだけを導入したい店舗では、この補助金はおそらく利用できません。理由は、補助額に下限があるためです。

1. 名前が変わった制度

飲食店のIT化でよく名前が挙がる補助金は、2026年度からデジタル化・AI導入補助金2026という名称になりました。正式名称は中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金で、前年度までのIT導入補助金にあたります。窓口は中小機構で、公式サイトは it-shien.smrj.go.jp です。

「IT導入補助金 飲食店」で検索すると、前年度の制度内容をもとに書かれた記事も見つかります。枠の名称や金額は年度によって変わるため、実際に申請する際は必ず公式サイトで確認してください。この記事で使っている数字は、2026年8月時点で公式の通常枠のページに記載されているものです。

2. 何にいくら出るか

申請枠は5種類あります。モバイルオーダーやPOSレジのようなソフトウェアを導入する場合は、まず通常枠が候補になります。

主な対象
通常枠業務のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入
インボイス枠(インボイス対応類型)インボイス制度に対応した会計・受発注・決済のソフトと、PCやレジなどのハードウェア
インボイス枠(電子取引類型)受発注システムを商流単位でまとめて導入する場合
セキュリティ対策推進枠サイバー攻撃への対策ツール
複数者連携枠複数の中小企業が連携して取り組むデジタル化

通常枠の条件は次のとおりです。

通常枠は、ソフトウェアを中心とした制度です。PCやレジのような機器は、インボイス枠(インボイス対応類型)で対象になります。タブレットだけを補助金で購入することはできません。

3. 補助の対象になるツール

好きなサービスを契約し、あとから領収書を提出する制度ではありません。

補助の対象になるのは、事務局の審査を通過して登録されたITツールだけです。登録を申請するのは導入する店舗ではなく、事務局に採択されたIT導入支援事業者です。店舗はその事業者と一緒に申請します。つまり、導入したいサービスが登録されていなければ、そのサービスを補助金で導入することはできません。

まずは、公式サイトのITツール・IT導入支援事業者検索でサービス名を調べるのが早いでしょう。見つからなければ、その時点でこの補助金は利用できません。登録されているPOSレジ会社であれば、申請手続きにも慣れていることが多いです。

スグオーダーの場合:登録ITツールではないため、この補助金では導入できません。第5章で触れるとおり、月額780円(税込)では補助額の下限にも届かないため、そもそも申請する意味がない金額です。

4. 申請の順番と待つ時間

申請から入金までは、おおよそ次の順番で進みます。

  1. gBizIDプライムを取る(法人・個人事業主共通の認証。ほかにも事前に済ませる手続きがあるので、公式サイトの案内で確かめてください)
  2. 使いたいツールとIT導入支援事業者を決める
  3. その事業者と一緒に申請する
  4. 交付決定を待つ
  5. 交付決定のあとで契約・発注・支払いをして、導入する
  6. 事業実績報告を出し、確定検査を受ける
  7. 補助金が入金される

4と5の順番は入れ替えられません。公式サイトには「交付決定前に発注・契約・支払い等を行った場合は、補助金の交付を受けることができません」と明記されています。今週から使い始めたい場合は、補助金を諦めることになります。先に契約して利用を始めてしまうと、あとから申請しても対象外です。

待ち時間も短くはありません。公募は年に何回かに分かれており、公式サイトのスケジュールでは、締切から交付決定日まで6週間ほど空いています。締切前には書類の準備も必要です。導入・支払いのあとに実績報告と確定検査を経て、補助金が入金されます。手続きを始めてからお金が戻るまで、半年前後を見込んでおくのが現実的です。締切日は回ごとに異なるため、公式サイトの事業スケジュールで確認してください。

補助金は後払いです。導入時には、いったん全額を自分で支払います。手元資金が少ない時期に、補助率が2分の1だからといって導入予算を倍にすると、資金繰りが苦しくなることがあります。

5. 補助額の下限5万円

通常枠の補助額は5万円以上と決められています。補助率が2分の1の場合、対象となる経費が10万円に届かなければ申請できません。

クラウドの利用料は最大2年分が対象です。ソフトウェア単体で10万円に届く月額を逆算すると、24か月で月4,200円ほどになります。この金額より安いサービスは、単体では下限に届きません。

月額2年分補助率2分の1での補助額下限5万円
780円18,720円9,360円届かない
3,000円72,000円36,000円届かない
4,200円100,800円50,400円ぎりぎり
10,000円240,000円120,000円届く

もちろん、これはソフトウェア単体で申請した場合の話です。導入設定や保守の費用を加えれば金額は上がりますし、インボイス枠ならレジやタブレットも含められます。POSレジ一式やタブレット付きのセルフオーダーを同時に導入する場合は、10万円をすぐに超えるでしょう。

下限に届かせるために不要なオプションを追加すると、補助率が2分の1なら残り半分は自己負担です。10万円ぶん追加して5万円を受け取っても、5万円は自分で支払っています。使わない機能に5万円を払うくらいなら、購入しないほうが安く済みます。

この補助金は、券売機やPOSレジのような数十万円規模の設備投資に向いています。券売機との比較でも触れたとおり、券売機は本体だけで50万円前後からです。月額だけで使えるサービスを導入したい場合は、補助金を判断材料から外してかまいません。

6. 使う・使わないの決め方

申請するかどうかは、上から順に確認していくと判断しやすくなります。

  1. 買い物の総額が10万円を超えるか:超えないなら、この補助金は使えません。ここで終わります
  2. 使いたいツールが登録されているか:公式のツール検索でサービス名を調べる。なければ、そのツールは対象外です
  3. 交付決定まで待てるか:今シフトが回らなくて困っているなら、数か月は待てないはずです
  4. いったん全額を払えるか:後払いなので、立て替える資金が必要です
  5. 書類を誰が書くか:IT導入支援事業者が手伝ってくれますが、事業計画も実績報告も申請者の名前で出します

申請すれば必ず通るわけではありません。審査があります。採択を前提に設備投資の計画を組むと、落ちたときに動けなくなります。

1から5をすべて通るなら、申請する価値は十分にあります。数十万円の買い物の半分が戻るのは大きなメリットです。一方で、実際には1で止まる店舗のほうが多いと思います。その場合は補助金を追いかけるより、費用の内訳を見て自己負担でまかなえる範囲を決めたほうが早いでしょう。数万円の買い物のために半年待ち、書類を準備するとなると、時間のほうが高くつきます。

導入そのものを迷っている段階なら、個人店の導入ガイドもどうぞ。

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