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券売機とモバイルオーダーは
どちらを選ぶ?費用・前払い・向く業態の比較

最終更新: 2026年8月27日

注文を聞きに行く仕事を機械に任せたい。そこまでは決めたものの、券売機にするかモバイルオーダーにするかで迷う。その分かれ道は、店の営業スタイルから判断できます。どちらが優れた道具かという話ではありません。追加注文が起きる店かどうかで、答えはだいたい決まります。

1. 消える仕事が違う

どちらも、お客様自身に注文を入力してもらう仕組みです。ここだけ見ると、同じ道具に見えます。違いが出るのは、注文以外の仕事です。券売機は注文と同時に会計まで済ませます。モバイルオーダーは、店がオンライン決済を使わない限り、会計の仕事がレジに残ります。

比べる点券売機モバイルオーダー
注文を聞きに行くなくなるなくなる
会計注文と同時に終わるレジに残る(オンライン決済を使えば消える)
未収・食い逃げ起きない今までと変わらない
追加注文席を立って買い足してもらう席から何度でも
導入費用本体で数十万円から手持ちの端末とQRの印刷代
1件あたりの費用現金なら0円。キャッシュレス決済なら手数料後払いなら0円。オンライン決済なら手数料
メニューの変更ボタンの差し替えや機械側の設定変更管理画面で書き換える
止まったとき注文も会計も止まる紙とペンに戻せる
置き場所入口付近に1台分の床と電源要らない

注文取りを減らしたいだけなら、どちらでも目的は果たせます。判断が分かれるのは、表の下のほうにある項目です。

2. 費用のかかり方

券売機は、本体を購入する道具です。券売機の販売店が公開している価格表では、新品のボタン式は約50万円から、タッチパネル式は約60万円からです。現金とキャッシュレスの両方に対応した機種は約120万円からで、中古は約40万円からとされています(2026年8月時点)。ここに設置の手間や電源、保守の契約が加わります。中古を選ぶなら、購入前に保守や補修部品の扱いを確かめておくほうが安全です。

モバイルオーダーは、月額で利用する道具です。注文を受けるのは手持ちのスマホかタブレットで、席にはQRを印刷して置くだけです。初期費用は印刷代くらいで、月額は数百円から数千円の幅があります。

「人件費がいくら浮くか」を根拠に券売機の元を取ろうとすると、たいてい計算が合いません。注文取りが1日20分減るとして、時給1,200円なら1日400円、ひと月で1万2千円ほどです。50万円の券売機なら、単純に割っても3年以上かかります。券売機を選ぶ理由は、人件費よりも前払いの利点にあります。費用の比べ方そのものは費用の内訳にまとめました。

3. 前払いと後払い

券売機がいちばん力を発揮するのは、前払いの部分です。お客様は入店時に食券を買い、店は先にお金を受け取ります。

一方で、負担になる点もあります。ピークに10人がまとめて入ってくると、全員がまず入口に並びます。席は空いているのに入口で詰まり、列が外まで伸びることもあります。メニューを決める時間がそのまま列の長さになるため、品数の多い店ほど詰まりやすくなります。機械が止まれば注文も会計も同時に止まるため、手書き伝票とレジで受ける手順は残しておく必要があります。

後払いのモバイルオーダーは、この裏返しです。お客様は席に着いてからゆっくり選べるため、入口に列はできません。そのかわり会計はレジに残るので、レジ締めも未収の心配も今までどおりです。ここを「注文取りだけが消える道具」と割り切れるかどうかが、判断の分かれ目になります。

会計まで消したい場合:オンライン決済つきのモバイルオーダーを選べば、券売機と同じように前払いにできます。ただし、決済手数料が売上に対してずっとかかるため、月額の安さだけで選ぶと総額で逆転することがあります。

4. 追加注文の回数

券売機は、入店時に一度だけ注文する店に向いた機械です。ラーメンを1杯食べて帰る店なら、それで十分です。

問題は、2杯目のビールや食後のコーヒー、もう一品といった注文が起きる店です。券売機だと、お客様は食事の途中で席を立ち、入口の機械まで歩いて買い直すことになります。面倒なのでやめておこうと思う人も出てきます。どれくらい出るかは店とお客様によりますが、注文までの手数が増えることは確かです。

席から追加を頼めるようにすると、店員を呼ぶ手間もなくなります。混んだ時間に手を挙げて待つのが気まずく、追加をあきらめていた人も、そのまま頼めるようになります。とはいえ、これで客単価が必ず上がると言うつもりはありません。増えたという店もあれば、ほとんど変わらない店もあります。確かなのは、頼みにくさが減ることだけです。

5. 業態ごとの向き不向き

ラーメン・立ち食いそば・カレー券売機。注文は入店時の一度きりで、回転も速い。前払いの利点がそのまま生きます(替え玉や夜の追加だけ席から受ける形はラーメン店への導入に書きました)
学食・社食・セルフの定食屋券売機。混雑の山を読みやすく、並ぶ場所も確保しやすい業態です
居酒屋・バーモバイルオーダー。注文の回数が多く、券売機とはそもそも噛み合いません(居酒屋への導入で詳しく書いています)
焼肉・鍋モバイルオーダー。追加注文がいちばん多い部類です(焼肉店への導入で詳しく書いています)
食堂・カジュアルな和洋食モバイルオーダー。一品料理や飲み物の追加が起きやすい業態です
カフェ・喫茶店どちらもあり。先に会計を済ませたいならカウンターか券売機、席で追加を受けたいならモバイルオーダー(カフェへの導入で詳しく書いています)
テイクアウト専門受け渡しだけなら前払いが自然です。券売機か、オンライン決済つきの注文で

迷いやすいのは定食屋とカフェです。小鉢や飲み物の追加がどれくらいあるか、実際の伝票を1週間ぶん見返すとはっきりします。追加が客の1割にしか起きていないなら、券売機でも困りません。

6. 決め方の順番

  1. 追加注文が起きるか:起きるならモバイルオーダーです。ここでほとんど決まります。
  2. 未収とレジ締めが今の悩みか:そうなら券売機です。前払いは、後払いのモバイルオーダーでは代えられません。
  3. 入口に人が並べる場所があるか:立ち位置が1〜2人分しかない店に券売機を置くと、列が外に出ます。
  4. 数十万円を今出すか:決めきれないなら、先にモバイルオーダーで注文取りだけを外し、券売機が要るかどうかをそのあと考えても遅くありません。逆の順番だと、買ってから合わないことに気づきます。

両方を使っている店もあります。メインの注文は券売機で前払い、追加だけ席からモバイルオーダーで後払い、という形です。会計の場所が2つに分かれるため、レジ締めの手順を先に決めてから始めてください。反対に、モバイルオーダーで回っている店が券売機を足す例はあまり見かけません。前払いにしたい事情がなければ、置く理由がないからです。

導入そのものを迷っている段階なら、個人店の導入ガイドデメリットと対策もあわせてどうぞ。

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見出し画像: Pixabay / NaoYuasa (Pixabay Content License)