居酒屋にモバイルオーダーは向く?
飲み放題・年齢確認・大人数席の実務
最終更新: 2026年8月29日
居酒屋は、モバイルオーダーの効果がもっとも出やすい業態だと考えています。注文回数が多く、そのたびにスタッフが席まで足を運ぶ必要があるためです。ただし、飲み放題の残り時間の管理と年齢確認は、引き続き人が担います。この前提を踏まえずに導入すると、あとで「話が違う」となりかねません。
1. 注文の回数が違う
ラーメン店や定食屋では、お客様が注文するのは入店時の一度きりです。居酒屋はそうはいきません。とりあえずビール、料理を三品ほど、飲み終わって二杯目、途中でもう一品、締めに麺。1卓から4回も5回も呼ばれます。20卓の店が満席になれば、それだけでスタッフは席まで100回近く歩く計算になります。
この往復がまるごと画面上の注文に置き換わるため、他の業態より効果が大きくなります。入店時に一度だけ注文が発生する店との違いは券売機との比較にも書きました。居酒屋で券売機をあまり見かけないのは、何度も注文する流れと噛み合わないからです。
お客様にとっても変化があります。混んでいる時間に手を挙げ、スタッフと目が合うまで待つ。気まずさから二杯目をあきらめる人もいます。席から頼めれば、その二杯目をあきらめずに済みます。これだけで客単価が必ず上がるとは言いません。上がったという話は聞きますが、自分の店で何割増えるかは、やってみないと分かりません。ただし、頼みにくさが減ることは確かです。
2. 飲み放題との付き合い方
導入前にもっとも揉めやすいのが、この点です。
飲み放題で店が行っていることを分けてみます。注文を受ける、開始時刻を覚えておく、残り時間を見る、ラストオーダーを告げる、時間が過ぎたら飲み放題の注文を止める。飲み放題は90分か120分で、ラストオーダーを終了の10分から30分前に設定する店が多いようです。
モバイルオーダーに置き換えられる作業は、このうち最初の「注文を受ける」だけです。席ごとの残り時間を数える機能は、多くのモバイルオーダーには備わっていません。ハンディ端末やPOSレジと一体になった業務用のシステムなら、卓ごとの開始時刻を記録し、時間が来たら飲み放題のメニューを自動で切り替えられます。QRを置くだけの安価なサービスでは、そこまで対応しないのが一般的です。スグオーダーにもこの機能はありません。
飲み放題を扱う店でも、運用を分ければ使えます。
- 飲み放題の卓は今までどおり:ドリンクは口頭で受け、時間は店が管理する。料理の追加だけを画面から受ける
- 飲み放題のドリンクもメニューに載せる:0円で並べておけば、注文自体は席から届きます。時間が来たら店が受付を止める手作業は残ります
- 単品の卓だけに置く:アラカルトの客と飲み放題の客で卓を分けている店なら、これがいちばん手軽です
飲み放題が売上の柱になっている宴会主体の店では、手作業が多く残るため、減らせる手間は一部にとどまります。逆に、単品で飲む客が半分以上いる店なら、その客からの注文を受ける手間は減らせます。自分の店の売上が飲み放題と単品でどう分かれているか、伝票を1週間ぶん見返してから決めてください。
3. 年齢確認とお酒の出し方
20歳未満の人に酒を出すことは法律で禁じられています(二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律。2022年4月に「未成年者飲酒禁止法」から題名が変わりました)。店には年齢確認その他の必要な措置を講じることが求められており、20歳未満と知りながら提供した営業者には50万円以下の罰金の定めがあります。
注文を画面で受けても、この義務はそのまま残ります。オーダーを取りに席まで行かなくなるぶん、誰が飲むのかを確認しないまま酒を出してしまう流れも新たに生まれます。これまでは注文を聞きに行ったときに顔を見て判断していたはずで、その確認の機会が1回減るということです。
必要な対応はこれまでと変わりません。
- 運ぶときに顔を見る:酒を席まで運ぶのは人なので、確認の機会は残っています。この確認を、新しく入った人にも徹底する
- 入店時に済ませる:若く見えるグループは、席へ案内する時点で確認する。飲み始めてから聞くほうがずっと気まずい
- 注文画面にも書く:お知らせを出せるなら「20歳未満の方へのお酒のご提供はいたしません」を常時出しておく
画面で「20歳以上ですか」と聞いても、ボタンを押すのはお客様なので、年齢を確認したことにはなりません。年齢確認まで自動化できると期待して導入すると、あとで困ります。年齢確認は人が行うものと割り切ってください。
4. 大人数の席でつまずく点
4人までのテーブルなら、たいてい問題なく使えます。宴会や6人以上の座敷では、困りごとが出てきます。
- 誰が頼んだか分からない:1枚のQRを全員で読むため、注文は卓ごとにまとまります。割り勘なら問題ありませんが、個別会計をしている店では、誰の注文か分けられません
- スマホを持たない人:1卓に操作できる人が1人いれば回ります。全員が高齢のグループでは注文が止まるため、口頭での注文は必ず残しておいてください
- 酔ってからの誤注文:同じ品を二度頼む、数量を押し間違える。同じ卓から短い間隔で同じ品の注文が来たら一声かけると決めておけば、だいたい防げます
- 幹事が全部入力する:大人数では1人が聞いて回って入力することになります。10人を超える卓は、紙のメニューを1冊置いておくほうが早い場合もあります
- お通しと席料:注文されるものではないので画面には載りません。レジ側で足す運用は今までどおりです
5. 向く居酒屋・向かない居酒屋
| 単品中心のアラカルト居酒屋 | 向く。注文回数がそのままスタッフの往復回数になるため、減らせる往復がいちばん多い |
|---|---|
| 焼き鳥・もつ焼き・串もの | 向く。1本ずつ頼み足す形なので、細かな注文が何度も発生します |
| 個室・座敷が多い店 | 向く。スタッフが呼びかけに気づきにくい席ほど、画面で注文を直接受けられる効果が大きくなります(電波は要確認) |
| 宴会・コース・飲み放題が売上の柱 | 効果は限定的。時間管理が店側に残るため、単品の卓と分けて使うことになります |
| カウンター6席ほどの小さな店 | 向かない。声が届く距離なので、QRを挟むほうが遠回りです |
| 常連との会話が売りの大衆酒場 | 向かない寄り。注文のやり取りそのものが商品なら、そこを削る意味は薄い |
| 立ち飲み・角打ち | 都度会計なら要りません。後払いの伝票制にしている店なら効きます |
向かない店でも、一部の卓だけで使う方法はあります。カウンターでは口頭注文を続け、テーブルと個室にだけQRを置きます。全席に導入するか、まったく導入しないかの二択で考えると、たいてい見送ることになります。
6. 始めるなら、どの席から
東京商工リサーチの集計では、2026年上半期(1月から6月)の居酒屋の倒産は118件でした。前年同期の90件から31.1%増え、1989年以降でいちばん多い数字です。値上げと客側の節約志向の板挟みが理由に挙がっています。この時期に数十万円の機器を先に買うのは、負担の大きい選択です。1卓ぶんのQRから試し、効かなければやめられる形にしておくほうが安全です。費用の考え方は費用の内訳にまとめました。
- 飲み放題の予約が入っていない日を選ぶ:単品の客が中心の日のほうが、効果があるかどうかをはっきり確認できます
- 混む時間に試す:暇な日に試しても、効果も問題も見えません。金曜の20時台のような、いちばん呼ばれる時間帯に置きます
- 電波を全席で確かめる:席に座った状態で自分のスマホから読めるか。ここを飛ばすと、当日その席だけ動きません
- 口頭注文は残す:「QRからでも、声をかけていただいても大丈夫です」と書いた紙を卓上に置くだけで、たいていの抵抗はなくなります
- 2週間見る:注文を取りに行く回数が減ったか、呼ばれてから料理が出るまでの時間が短くなったか。この2つだけ確認すれば足ります
QRの作り方と卓上での置き方はQRコード注文の始め方に、導入時に困りやすいことの一覧はデメリットと対策にまとめています。業態によって、導入時に決める順番は違います。先会計の店が多いカフェと、卓上タブレットとの比較を先に検討したい焼肉店については、それぞれ別の記事で扱っています。
飲み放題の卓はそのままでも、単品の卓から試せます
スグオーダーは月額780円(税込)/1店舗、初期費用0円。手持ちのスマホ・タブレットとQRの印刷だけで、今日の営業から使えます。14日間無料で、クレジットカードの登録も要りません。まずは1卓に置いて、金曜の夜に何回呼ばれずに済んだかを数えてみてください。
無料で始める先に試したい方は、実際の注文画面のデモをどうぞ(登録・インストール不要。注文はどこにも届きません)。
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